動物
渡り鳥のカメラは、季節を選んで見る
鳥のカメラは、いつ開くかで見えるものがまるで変わります。真夏に白鳥の湖を開いても、 映るのは誰もいない水面だけです。10台の動物カメラについて、 何月のどの時間なら鳥がいるのかを、湖ごとにまとめました。
渡り鳥のカメラには「季節」という当たり外れがある
景色のカメラは一年中それなりに見るものがありますが、渡り鳥のカメラは違います。 鳥がいない時期は、本当に何もいません。がっかりするのは見る側の問題ではなく、 単に時期が合っていないだけです。
日本で見られる冬鳥のおおまかな流れは、10月ごろに北から到着し、 12月から2月に数が最も多くなり、3月には北へ帰っていくというものです。 つまり見ごろは冬。夏のあいだは、ほとんどの水鳥カメラが「湖の景色を映すカメラ」になります。
加えて、一日の中でも時間帯があります。多くの水鳥は、 夜を過ごした場所から朝に餌場へ飛び立ち、夕方に戻ってきます。 日中の湖はむしろ空いていることがあり、朝と夕方に数が動きます。 日の出前後と日没前後を狙うと、群れが動く場面に当たりやすくなります。
ハクチョウの湖
4台がハクチョウを映しています。北から順に見ていくと、渡りの道筋がなんとなく見えてきます。
- クッチャロ湖のハクチョウ(北海道・浜頓別)— オホーツク海に近い湖で、ラムサール条約に登録されています。 北海道の湖は、越冬地というより渡りの途中に立ち寄る中継地としての性格が強く、 春と秋に数が大きく動きます。真冬は湖が凍ることもあります。
- 小湊海岸のハクチョウ(青森・平内)— 陸奥湾に面した遠浅の海岸で、白鳥の渡来地として古くから知られています。 湖ではなく海というのが珍しく、波打ち際に白い鳥が並ぶ絵になります。
- 琵琶湖の水鳥(滋賀・長浜)— 琵琶湖の北岸は、本州でも有数のコハクチョウの越冬地です。 背後に伊吹山や山並みが入るので、鳥がいない時期でも湖の風景として見られます。
- 米子水鳥公園のコハクチョウ(鳥取・米子)— 中海に面した湿地です。ここは西日本の越冬地で、 北のクッチャロ湖と見比べると、同じ種類の鳥が旅する距離の長さが実感できます。
ガンとカモ ― 数で驚く
伊豆沼のガンカモ類(宮城・栗原)は、 ラムサール条約に登録された浅い沼です。ここの見どころは一羽一羽ではなく、 数です。冬にはマガンをはじめとする水鳥が大量に集まり、 明け方に一斉に飛び立つ「ねぐら立ち」で知られています。
この飛び立ちは日の出前後に起こります。日本時間の朝6時前後、冬なら6時半ごろが目安ですが、 その日の天候にも左右されます。時間を狙って開くなら、少し早めに開いて待つのが確実です。
三方湖の水鳥(福井・若狭)は、三方五湖のひとつ。 淡水から汽水まで性質の違う湖が隣り合っている珍しい土地で、こちらも冬に水鳥が集まります。
ツルとタンチョウ
出水平野のツル(鹿児島・出水)は、 このサイトの鳥カメラの中でも特別な場所です。ここは 世界のナベヅルの大半が集まる越冬地で、 日本の他のどこにも、これだけの数が集まる場所はありません。 10月末から11月にかけて渡ってきて、2月ごろから北へ帰ります。
釧路湿原のタンチョウ(北海道・釧路)は逆に、 渡らずに一年を通して道東にいる鳥です。冬のほうが観察しやすいものの、 夏に開いても見られる可能性があります。広い湿原の中の一点を映しているので、 画面のどこにいるか探すつもりで見てください。
季節を選ばない2台
串本海中公園(和歌山・串本)は水中のカメラです。 串本の海はサンゴが育つ北限に近い場所として知られていて、 水温の高い夏から秋にかけてのほうが魚は活発ですが、季節による当たり外れは鳥ほど極端ではありません。 ただし波が高い日や雨のあとは、濁って何も見えないことがあります。
ツシマヤマネコ(福岡市動物園)は、 野生ではなく飼育されている個体を映しています。対馬にしか残っていない野生のネコで、 数を増やすための取り組みの一環として公開されています。 ネコらしく昼間は寝ていることが多いので、これは時間より運の問題です。 動いているところに当たったら、かなり運がいいと思ってください。
月ごとの目安
ざっくりした早見です。年によって前後しますし、その年の寒さでも変わります。
- 10月〜11月 — 渡ってくる時期。出水のツルが到着し、ハクチョウも姿を見せ始めます。
- 12月〜2月 — 最も数が多い時期。伊豆沼、琵琶湖、米子はこの時期が本番です。
- 3月〜4月 — 北へ帰る時期。北海道のクッチャロ湖は、 このころ通過する群れでかえって賑やかになります。
- 5月〜9月 — 水鳥はほぼいません。湖の景色として見る季節です。 串本の海と釧路のタンチョウ、ツシマヤマネコはこの時期でも見られます。
鳥のカメラは、外れた日のほうが多いくらいです。ただ、時期と時間を合わせて開いた画面に 群れが映っていると、こちらの読みが当たったという妙な達成感があります。 夏のあいだは、火山のカメラのほうが変化を追いやすいかもしれません。